貧血2

こんにちは、院長の中島です

貧血のお話の続きです。

貧血の診断、種類

貧血の診断には採血が欠かせません。

貧血には採血結果で赤血球指数による分類として

小球性低色素性貧血、大球性貧血、正球性貧血に分類できます。他に貧血の分類には成因(原因)別に分類する方法もあります。

赤血球が小球性、大球性、正球性いずれのタイプなのかはMCVを見ればわかります。

赤血球指数について(再掲)

項目名単位男性女性
RBC(赤血球数)×104/μL438~577376~516
Hb(血色素(ヘモグロビン))g/dL13.6~18.311.2~15.2
Ht(ヘマトクリット)%40.4~51.934.3~45.2
MCV(平均赤血球容積)fL83~10180~101
MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)pg28.2~34.726.4~34.3
MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)%31.8~36.431.3~36.1

最も多く見かけるのが

小球性低色素性貧血

で主に鉄欠乏性貧血が原因です。Hb値、MCV値、Fe、フェリチン値が低くなり、UIBCが高くなります。

鉄は血色素(ヘモグロビン)の主な材料のため、鉄が不足すると、赤血球が作れなくなるため、それでも無理して赤血球を作ろうとすると、材料(鉄)を節約して作るので小ぶり(小球性)になり、中身も少なく薄い(低色素性)貧血になるのです。

血液中の鉄と関連項目の正常値

項目単位男性女性
Fe(血清鉄)μg/dL60~21050~170
TIBC(総鉄結合能)μg/dL250~410250~460
UIBC(不飽和鉄結合能)μg/dL120~330110~425
フェリチンng/mL21.0~282.05.0~157.0

鉄不足の原因は

  1. 摂取不足(食事などからの鉄摂取不足、胃切除による吸収不良など)
  2. 喪失量の増大(消化管出血(胃潰瘍や大腸ポリープ、小腸angioectasiaからの出血など)、過多月経(女性)など)

が挙げられます

成長期には鉄の補充、摂取量に対して、造血量が増えることによる相対的な鉄欠乏性貧血もありますが、小児特有の状況です

また、特殊な場合として、小児を含む若年者でH.pylori感染が鉄欠乏性貧血の原因になることもありえます。H.pylori菌の持続感染が、鉄吸収障害の原因になっていると考えられています。

成人の鉄欠乏性貧血で注意しなければならないのは喪失の方で

特に、胃がんや大腸がん (、まれに悪性リンパ腫や小腸がん) など悪性疾患による消化管出血の存在に気をつけなければいけません。

怖い病気ばかりではなく、胃十二指腸潰瘍や小腸のAngioectasia(毛細血管拡張症)、炎症性腸疾患などによる消化管出血も貧血の原因になりえます。

なので検診で貧血を指摘された場合は

まず、消化管出血を否定するために胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を受けることを強くおすすめします。

毎年、貧血を指摘されるたびに内視鏡検査を受けなければならないかどうかは、状況によりますので、医療機関にご相談ください。

胃にも大腸にも病変がない場合、小腸の検査が必要なこともあります。

前回のブログで、大人の貧血には消化器内科が深く関連することがあるといったのはこういうことだったのです。

女性の場合は、消化管出血以外に婦人科疾患の検索も大事ですね。

鉄欠乏性貧血の治療

鉄欠乏性貧血の治療は食事療法、薬物療法、輸血があります

食事療法

非薬物療法として、鉄を多く含む食材による食事療法があります

鉄を多く含む食材

肉類、赤身の魚(マグロ、カツオ等)、牡蠣、ほうれん草、ピーナッツ、プラムなど

鉄を含んだ食材でも、ヘム鉄(タンパク質に結合した鉄)を含む肉類や赤身の魚など動物性の食材ほうが鉄の吸収効率がよいとされます。

その他、鉄鍋、鉄瓶など鉄でできた調理器具で作った料理からも鉄を補充することもできます。ひじきには鉄が含まれると言われていましたが、実は、昔はひじきの煮物を鉄鍋で作っていたので、鉄が多く含まれていたということのようで、今のひじきの煮物は主にステンレス製の鍋で作られるため、それほど鉄が多くないそうです。

薬物療法には

 経口内服薬

 静注鉄製剤

による治療があります。

経口内服薬は副作用として消化器症状(悪心、嘔気など)がでる人も多く、十分な内服ができないひともいます。その場合は、静注鉄製剤で血液中に直接、鉄を補充する治療を行います。

他に直接的な補充として

輸血療法があります