インフルエンザの流行が始まりました
こんにちは、院長の中島です
インフルエンザ流行期到来!?
ニュースでついに出ましたが、今週はじめ(2024年12月9日)からインフルエンザの患者さんが急に増えたような気がしてました。
いよいよ、冬本番。インフルエンザの流行が始まったようです。
(札幌市の流行状況の最新情報については→こちら)
インフルエンザやかぜに罹ったかもと思っても、早めの受診がよいとは限らない
インフルエンザを含め、風邪をひいたら早めの◯ブロンなどと早めに治療することや、早めの受診を勧めている広告などをみかけますが、早めの受診には注意することがあります。
まず、インフルエンザの診断に使用する抗原検査は、発症(発熱)から7~12時間以上経過しないと陽性率が低く、偽陰性になる可能性があるため、あまり早く受診しても診断がつかないことがあります。
また、風邪のひき始めに風邪薬を内服しても、風邪薬は一般的には風邪を治す効果があるのではなく、症状を抑えるだけの効果しかありません。風邪の原因となるウイルスを自分自身の免疫力で排除するまでに、発熱、咳や痰、咽頭痛、鼻汁、頭痛、関節痛などのいろいろな症状が出るため、その症状を軽くする薬で辛さをしのいで体からウイルスが出ていくのを待っているので、早く受診したら風邪を引かなくて済む、症状が軽くて済むというわけではないのです。
インフルエンザの治療はタイミングが重要です
インフルエンザの抗ウイルス薬は風邪薬の中でも例外で(インフルエンザのウイルス量をへらして)、インフルエンザを治し、症状も軽減する効果があります。早期に内服するとウイルスが体内で増える前に抑えて症状発現を抑制できるかもしれませんが、先程お話した通りあまり早く受診しても診断がつかないため、投与の対象にはなりません。
インフルエンザの薬を予防で内服するということもあるのですが、予防投与は保険診療適応外のため、自費診療(100%保険外、自腹です)扱いとなり、高額となることが多いです。
なので、発熱したタイミングなどをよく考えて受診して、必要な検査で確実に診断してもらうのがよいでしょう。
逆に、あまりのんびりしすぎてもダメで、インフルエンザの抗ウイルス薬は発症から48時間以上経過してから服用開始した場合は、ウイルス量が減少する効果は自然経過でウイルス量が減少するスピードと変わらず、薬のありがたみが感じられなくなるため、発症48時間以上経過した場合は投与の対象外となります。
なんども受診して検査するのもおすすめできません。流行期には検査キットが不足することが予想されるため、一人の人が何度も検査することによって、他の人が検査できなくなっては困ります。
ちなみに、この記事を書いている時点(2024年12月11日現在)で、インフルエンザでもないCOVID-19(新型コロナ)でもない、発熱患者さんもたくさんいらっしゃいます。
インフルエンザは抗ウイルス薬を飲まなくても大丈夫!?
インフルエンザの抗ウイルス薬については、インフルエンザになったからと言って必ず服用しなければならない訳ではありません。症状が最初から軽ければ、これもやはり抗ウイルス薬を服用したありがたみが感じられないことになるので、飲んでも飲まなくても一緒ということになります。
基本的にインフルエンザは症状の強い風邪のため、大抵の場合は風邪薬による対処療法のみで治癒します。
どうしても辛い症状があるときに早く症状を回復したい場合や、高齢者のように免疫力が低下している場合は抗ウイルス薬を使用するのはやぶさかではありませんが、無闇矢鱈に抗ウイルス薬を服用するのはおすすめできません。
インフルエンザを予防しましょう
インフルエンザは診断、治療のタイミングが制限されることなど、罹るとちょっとややこしい(?)病気のため、それであれば、なるべく罹らないようにする、予防を第一に考えてワクチンを接種することをお勧めします。ワクチンを接種すれば100%感染を阻止できるわけではありませんが、万一罹患した場合でも症状が軽く済むことも多いため、ワクチン接種をインフルエンザ対策としてお勧めします(→2024年度のインフルエンザワクチン接種のご案内はこちら)。
もちろん、それ以外にインフルエンザだけではなく種々の感染症にはマスクの着用、うがい、手洗いが重要なことは言うまでもありません。
何事も、かかってから治すよりは発症予防が重要です。(←実は、これが当クリニックが一番大事と考えている診療方針です)
きちんと対策、正しい受診を心がけて、この冬を無事にお過ごしください。