原発性胆汁性胆管炎(PBC)

PBCは肝臓の中に樹の枝のように張り巡らされた胆管(肝臓でつくられた胆汁の通り道)に自己免疫的機序で障害が起きる疾患です。採血で認められる異常としては、いわゆる胆道系酵素と呼ばれるALP/γGTP優位の肝障害が特徴的です。以前は肝硬変になって診断されることも多かったことから、おなじPBCの略称でもPrimary biliary cirrhosis(chirrhosisは肝硬変の意)と呼ばれていましたが、診断、治療の進歩により肝硬変に至る前に治療され、肝硬変への進行を阻止できることが多くなってきたことから名称と病態の乖離があり現在のPrimary biliary cholangitis (cholangitis = 胆管炎)に名称変更となりました。他の自己免疫性疾患(シェーグレン症候群、橋本病など)の合併も多く、前述の自己免疫性肝炎(AIH)との合併 (AIH-PBCオーバーラップ症候群)もあるとされています。

臨床的に黄疸や皮膚掻痒感などの臨床症状を伴うものを症候性PBC、肝障害に伴う症状をともなわないものを無症候性PBCといいます。

診断には抗ミトコンドリア抗体とIgM高値などの血清学的検査や肝生検による病理学的評価で診断します。PBCに特徴的な肝組織の病理学的所見には慢性非化膿性破壊性胆管炎(chronic non-suppurative destructive cholangitis:CNSDC)や胆管消失像が挙げられます。

治療はUDCA(ウルソデオキシコール酸)の内服治療で血液データの改善が認められ、肝硬変への進展も予防できるとされています。肝機能改善の反応が悪いときは脂質異常症の治療にも使用されるフィブラート系薬剤の併用で改善することが期待されますが、予後の改善には寄与しないとの報告があります。AIH-PBCオーバーラップ症候群で肝実質障害が強い場合はステロイドも使用されることがあります。進行して肝硬変になった場合は肝移植も選択肢の一つとなります。

健康診断

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