H.pylori感染診断のための検査法について

H.pyloriの感染診断については実は、Gold Standard、いわゆる基準となる診断法が実は存在しません。

どの検査法にも、それぞれの感度、特異度があり、偽陰性、偽陽性の可能性が考えられます。

また、各検査法には診断だけではなく、検査法独自の特徴も兼ね備えているため、必要に応じて検査法を使い分けていくことになります。

H.pyloriの検査法には、大きく分けて

侵襲的な検査法

非侵襲的な検査法

があります。

侵襲的な検査法は、上部消化管内視鏡の際に検体を採取する、胃粘膜組織を生検鉗子などで採取する方法のため、侵襲的と言われています。

侵襲的検査法

侵襲的検査法のなかには

①迅速ウレアーゼテスト

②鏡検法

③培養法

が含まれます

非侵襲的検査法

非侵襲的検査法は、

④抗体測定法(血清抗体法、尿中抗体法など)

⑤尿素呼気試験

⑥便中抗原法

が含まれます。

今日、内視鏡検査によって胃粘膜を観察することによって、粘膜所見からH.pylroriの感染が推定できます(→胃炎の京都分類 2 参照)。H.pylori感染診断は内視鏡検査や胃バリウム検査などで萎縮性胃炎や胃癌などH.pylori関連疾患が認められ感染が疑われる場合、それだけでは診断できないため①~⑥の臨床検査により診断を確定していく流れとなります。

感染を診断する場合、健康保険の適応上は、①〜⑥のいずれかで検査して陰性となった場合、もう一度、別の検査法を追加することができます。または①+②、④+⑤、④+⑥、⑤+⑥を同時に1度だけ検査することも可とされています。健康保険上は2種類の検査を実施して陰性であった場合にはH.pylori陰性と診断すると考えればよいでしょう。

しかし、内視鏡検査や家族歴から感染が強く疑われるときは、複数の検査を組み合わせることにより、診断の精度が向上するので、しつこく検査することでH.pylori感染を診断し、除菌治療に結びつけることができます。

H.pylori除菌療法を行う場合、除菌前に必ず内視鏡検査によって、除菌時点で胃癌の合併がないことを確認する必要があります。

H.pylori感染診断や除菌療法をご希望される場合は、医師、スタッフにご相談下さい。

消化器内科

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