炎症性腸疾患の治療目標
治療の目的は症状の改善?
炎症性腸疾患の症状には腹痛、下痢、血便、発熱などさまざまです。
炎症性腸疾患の治療目標はこれらの症状を抑えることでしょうか?
炎症性腸疾患は繰り返して病状が悪化する場合があり、その都度、病状が進行すると言われています。
炎症が持続すると・・
クローン病では炎症を繰り返すたびに腸管の炎症により狭窄(狭くなること)、瘻孔形成(腸-腸、腸-皮膚の間に穴があいて交通ができること)を来たしやすくなり、狭窄や瘻孔の程度によっては手術が必要になることもあります。長期間罹患したクローン病では手術になる確率が高くなり、この手術を回避するために病状をコントロールすることもひとつの治療目標といえます。
潰瘍性大腸炎も同様に炎症を繰り返すたびに腸管の狭窄のリスクも高くなりますし、炎症が持続することで大腸癌(Colitic Cancer)になるリスクも高くなると言われています。
治療目標は粘膜治癒
これらの合併症を来さないためにも治療の目標は、患者さんが自覚する症状の緩和、抑制だけではなく、内視鏡的に炎症が見られない状態(これを粘膜治癒といいます)まで炎症をコントロールすることになります。
一般的に粘膜治癒に至った炎症性腸疾患は病勢が再燃しにくくなるとされています。
炎症性腸疾患の治療目標は
活動期には、
炎症を抑えて寛解状態にもちこむこと
寛解期は
粘膜治癒を維持して再燃を予防、合併症の発生を抑制すること
です。