胃炎の京都分類 2

胃炎の京都分類は胃粘膜の状態や副所見からH.pyloriの感染状態を推定することに非常に有用な分類です

胃炎の京都分類で使用される内視鏡所見(用語)と局在、H.pylori感染診断の関係

局在内視鏡所見H.pylori現感染H.pylori未感染H.pylori既感染(除菌後)
胃粘膜全体萎縮×○~×
びまん性発赤××
腺窩上皮過形成性ポリープ×○~×
地図上発赤××
黄色腫(キサントーマ)×
ヘマチン
稜線状発赤
腸上皮化生×○~×
粘膜腫脹××
斑状発赤
陥凹型びらん
胃体部皺襞肥大、蛇行×△~×
白濁粘液×△~×
胃体部〜穹窿部胃底腺ポリープ×
点状発赤×△~×
多発性白色扁平隆起
胃体下部小弯〜胃角小弯RAC(Regular arrangement of collecting venules)××~△
胃前庭部鳥肌×△~×
隆起型びらん
胃炎の京都分類 改訂第2版より引用、改変

◎:よく観察される ○:観察される △:観察されることがある ×:観察されない

粘膜所見でRACが認められれば、だいたいH.pylori感染はないと考えられますが、例外的に十二指腸潰瘍の場合には胃粘膜は比較的きれいな未感染所見様の粘膜を呈することがあります。十二指腸潰瘍もH.pylori感染との関連は深い病気ですが、十二指腸にはH.pyloriは住めないことや胃粘膜所見の解離が認められることなどがあり、同じH.pylori関連疾患ではありますが、胃潰瘍と分けて考えることも必要な場合があるのかもしれません。

胃粘膜所見からH.pylori感染を疑ったら、なんらかのH.pylori検査を行って感染が診断されれば、除菌治療へと進めていきます。

H.pyloriの感染診断についてはGold Standardが決まっていないという考え方もあり、粘膜所見や十二指腸潰瘍からH.pylori感染を疑った場合は、ひとつの検査で陰性判定がでても、しつこく他の検査で調べ直してみると、陽性と診断できることがあるので、注意が必要です。

H.pylori感染状態を放置することは、胃癌やその他のH.pylori関連疾患のリスクを放置することと同じなので、検診などで感染が疑われたり、指摘された場合は、医療機関に必ず相談するようにしましょう