H.pylori菌感染の特徴について
H.pyloriの感染には下記のような特徴があります。
・高齢者の感染率が高い。これは、過去の非衛生的な生活環境が影響していると考えられています。
・H.pyloriの感染は80%が家庭内感染とされています(母-子、父-子、同胞(きょうだい)間など)
・小児期(およそ5歳まで)に感染し、持続感染を起こし、薬物による介入(除菌療法)がなければ、感染の排除は困難とされています(例外として自然除菌(下記参照)はありえます)。一方、成人してから感染した場合、持続感染は少ないと考えられています。
・H.pylori感染の持続により、胃粘膜に炎症を来たし、萎縮性胃炎を起こします。萎縮性胃炎は経時的に拡大すると考えられ、長期間感染が続いた場合、萎縮の範囲が広がって行きます。
・萎縮性胃炎が進行して広範囲に強い胃粘膜の萎縮が認められるようになると、このような胃はH.pyloriの生育環境として不適な環境となり、H.pyloriが自然消滅することがあります(自然除菌)。
このような特徴から、家族の中にH.pylori関連疾患(胃十二指腸潰瘍、胃癌など、別項参照)がいる方は積極的に検診などでH.pylori感染の有無を含め上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を受けることをおすすめします。
空腹時の胃部不快などの上腹部症状のある場合は保険適応で胃カメラを受けることができるため、気になる症状がある場合はぜひ、ご相談ください。
H.pylori抗体検査やABC検診(別項参照)などで2次精査を指示された場合も、保険適応で検査を受けることができるため、症状がない場合は1次検診としてH.pylori感染の有無について調べてみるのが良いでしょう