炎症性腸疾患の薬物療法

炎症性腸疾患の薬物療法は

  • 活動期(病状が悪化して体調が悪い時)と寛解期(病状が安定している時)か
  • 疾患の重症度(重症か、中等症、軽症か)
  • 罹患範囲(潰瘍性大腸炎(UC)の場合、直腸から大腸のどの部分まで炎症をおこしているのか)

に分けて考えていく必要がありますが、まずはどんな薬を使っているのかを紹介します。

炎症性腸疾患の薬物療法には下記の薬剤が用いられます。

  1. 5-ASA製剤(治療薬の主役です)
  2. ステロイド(免疫抑制剤、調整剤の一種ですが、最も頻繁に使用されます)
  3. 免疫調整剤
  4. 生物学的製剤(下記のようなものがあります)

 TNFα抗体

 抗α4β7インテグリン抗体製剤

 抗IL-12/23p40モノクローナル抗体

 JAK阻害薬

 α4インテグリン阻害剤

 この他、潰瘍性大腸炎の炎症には腸内細菌叢が関与しているという考えもあり、腸内細菌叢に対する効果を期待して各種

  • 整腸剤
  • 抗生剤、抗菌剤

が用いられることもあります。

 また、クローン病において、絶食による食餌抗原回避+経腸栄養剤投与は栄養療法として古くから確立された治療法で、経腸栄養剤も治療薬の一つといえるかもしれません。

 当院では5-ASAを中心とした外来治療による炎症性腸疾患の治療を行っています。

 ステロイドは副作用も多く、開始するとき、中止するときには注意が必要です。必要であれば連携医療機関と連絡をとりながら開始するなどの対応をとることがあります。

 生物学的製剤は専門施設で用いられることが多い薬剤ですが、当院で治療開始できるもの、すでに導入済みであれば、紹介元病院と連携をとりながら当院で継続することができる薬剤もありますので、ご相談ください。

一般内科

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