炎症性腸疾患(IBD)とは

炎症性腸疾患(Inflamatory Bowel Disease)は原因不明の慢性腸炎で、
一般的にはクローン病と潰瘍性大腸炎の2つを指します。

クローン病は全消化管のどこにでも発症しますが、おもに小腸と大腸の病気で、痔瘻などの肛門病変も特徴的です。
潰瘍性大腸炎は大腸にのみ発症する病気で血便が特徴です。

この2つの病気の患者さんは年々増加傾向にあり、2014年の統計で潰瘍性大腸炎の患者さんは18万人を越え、
クローン病の患者さんは4万2千人程度でした。

IBDの患者さんの増加に伴い、これらの疾患は以前では専門施設での診療が多かったのですが、
近年では一般消化器内科でも診療することが多くなってきています。

2つの腸炎は異なる病気ですが、使用する薬剤など治療法が似ているところもあります。

大事なことは薬をきちんと飲むことと、定期的な通院で患者さんの体調をチェックしていくことです。
また、炎症性腸疾患は特定疾患申請により医療費助成が受けられる場合があります。

くわしくは医師またはクリニックのスタッフにお尋ねください。

IBDとIBS

炎症性腸疾患のことを英語でInflamatory Bowel Diseaseといい、頭文字をとってIBDといいます。
一般的には潰瘍性大腸炎やクローン病のことです(別項参照)

似たような名前にIBSというものがあります。
こちらはIrritable Bowel Syndromeといって、過敏性腸症候群というもので、
大腸に異常がないのに、腹痛と下痢、便秘を繰り返すような病態です。

大腸そのものには異常がないので、病気ではなく治療も要らないのかというとそうでもなく、
症状(下痢や腹痛などの便通異常)のために日常生活に支障をきたして治療を要する人も多いのが現状です。

IBSだと思っていたら、他の病気だったということもあり得るため、
きちんと病院で検査をうけて、消化管に異常がないことを確認してから、
お薬でおなかの調子を整えていくことが大事です。

くわしくは医師またはクリニックのスタッフにお尋ねください。